「永住許可」要点整理(その1)

目次

  1. はじめに
  2. 永住許可の審査は、入管による最後の審査
  3. 2026年春時点の永住許可の審査期間
  4. 「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)について
  5. 永住許可申請が可能になるまでの在留期間は、在留資格により異なる
  6. 身分資格や人権に配慮した在留期間要件の短縮もある
  7. 永住許可申請ができるための、最長の在留期間について
  8. 在留資格「高度専門職」の保有者が、永住許可申請する際の点数確認
  9. 永住許可申請中に転職する場合に注意すること

1.はじめに

在留資格「永住者」は、日本人や永住者、特別永住者と結婚して日本で生活している外国人、日本の会社に永年勤務してきた外国籍の会社員、日本で安定した事業を継続して行っている外国籍の事業家、その他、これからもずっと日本に居住し続けることに相当な理由がある外国人の方々のための在留資格です。

今回は、在留資格「永住者」取得の要件を概括し、特に2024年(令和6年)6月14日に国会で可決成立し、2027年(令和9年)4月1日に施行される出入国管理及び難民認定法(入管法)改定について、何がどう変わったかを中心に見ていきます。

さらに、現在持っている在留資格によって取得のための要件が異なること、申請してから審査結果が出るまでの間に注意することについて、重要なポイントを説明します。

2.永住許可の審査は、入管による最後の審査

在留資格「永住者」を取得できれば、在留期間が無期限になり、在留活動にも制限がかかりません。つまり、「永住者」の資格を取ってしまえば、それ以後、職業を変えたり、仕事を辞めて無職になったとしても、別の在留資格を取得しなければならないと心配する必要は無くなります。

それゆえに、永住許可申請に対する審査は、将来何か問題を起こさない限り、その外国人に関して出入国在留管理局(入管)が行う実質的に最後の審査*になり、それ故に、特別に慎重に行われます。

*ただし、在留カードの更新や再入国許可の手続き等は、永住許可取得後も必要です。

出入国在留管理庁は、審査基準の概要を「永住許可に関するガイドライン」にまとめて公開しています。主な審査基準は下記4. 以下で見ていきます。

3.2026年春時点の永住許可の審査期間

上述のとおり、永住許可の審査は、入管による最後の審査になり得るため、他の在留資格に比べて時間がかかります。審査に要する期間は、人によって、又は各地の地方出入国在留管理局・支局によっても異なるので一概にはいえませんが、半年から1年以上はかかります。

特に、2026年4月の時点で国会審議中の在留審査手数料値上げ案で、永住許可の手数料を現行の1万円(2025年3月までは8,000円だった)から一気に20万円(政府案)まで引き上げることが検討されていること、2027年4月から永住許可申請をすることができる要件の一つである、現在許可されている在留期間が最長の5年であることの適用が厳格化されること(下記7. 参照)、その他にも今後さらに政府・与党によって許可要件が厳しくされる恐れがあることから、2025年後半辺りから申請者がかなり増えているようです。そのため、永住許可申請の審査期間は、今後長くなることはあっても短くなることは、当面はなさそうです。

4.「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)について

ガイドラインには、次の5つの条件が記載されています。

(a) 素行が善良であること
(b) 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
(c) 原則として、引き続き10年以上日本に在留していること
(d) 公的義務(納税、年金や社会保険加入など)を適正に履行していること
(e) 現に有している在留資格について、最長の在留期間である5年が許可されていること

このうち (c)については、下記 5.と6. で、(e)については、下記7. で、説明します。また、(d)については、次回の特集で説明する予定です。

いずれにしても、これだけを見る限り、それほどハードルが高いとは思えないかもしれません。しかし、入管の審査官は、これらの基準を満たしているか否かに関して、(言葉は悪いですが)「重箱の隅を突く」ための分厚いマニュアルを持っていて、いろいろな角度から申請者に質問し、証拠の提出を求めてきます。

入管は、たんに提出された書類を調べるだけではなく、必要に応じて自ら調査を行うことがありますので(入管法第59条の2)、些細なことであっても、虚偽はもちろん、いい加減な記載は絶対にしないようにしてください。

さらに、忘れてはならないことは、ガイドラインで定められた条件を全て満たし、申請書に添付することを要求された書類を全て提出したとしても、必ず許可される保証はありません。何故なら、入管法の第22条には「・・その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可する・・」と書かれていますが、どういう人が、あるいはどうすれば、日本の国益に合するのかについて客観的な基準はなく、法務大臣の裁量次第だからです。

5.永住許可申請が可能になるまでの在留期間は、在留資格により異なる

永住許可を取得するための要件のひとつに、上記のとおり、「原則として、引き続き10年以上本邦に在留していること」があります。しかし、現実は、高学歴・高収入の人ほど早く永住許可を申請する権利を得ることができます。残念ながら、すべての在留外国人が平等に扱われるわけではありません。

具体的には、次の資格を有し、特定の要件を満たす外国人は、在留を開始してからかなり早い段階で永住許可申請をすることができます。

・在留資格「高度専門職」のポイント計算*で80点以上を有する外国人 1年

・在留資格「高度専門職」のポイント計算で70点以上を有する外国人 3年

・外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者 5年

*ポイント計算とは、在留資格「高度専門職」の基準適合性(合格基準のようなもの)を客観的に数値で測る仕組みです。このポイント計算表にはたくさんの評価項目があり、例えば、博士号を取得していれば何点、世界大学ランキング上位校を卒業していれば何点、年収がいくら以上なら何点・・と、該当する項目のポイントをどんどん足していきます。そして、その合計点によって、その外国人の日本への貢献度を測るというものです。

在留資格「介護」で来日し、毎日毎日、汗水流して高齢者や障害者の世話をしても、10年経たなければ永住許可の申請は出来ません。しかし、「高度専門職」の資格を持って在留すれば、たった1年か3年で永住資格を申請できます。職業や納税額によって日本への貢献度を客観的に測り、それによって年数要件に差を付けることが必ずしも悪いとは思いませんが、この大きな差には疑問を感じざるを得ません。経済的な観点以外の見地から貢献度を測るための基準があっても良いのではないでしょうか。

6.身分資格や人権に配慮した在留期間要件の短縮もある

家族内でのポジション(在留資格のうち身分資格)や人権への配慮から、永住許可の申請ができるまでの期間を10年より短くしている場合もあります。具体的には次のようなケースです。

・日本人と結婚して、真実の婚姻が3年以上継続し、1年以上日本に在留している者 1年

・「定住者」*の在留資格で日本に在留している者 5年

・難民**または補完的保護対象者***の認定を受けた者 5年

*「定住者」とは、日系人、定住難民、日本人の配偶者の実子、そのほか法務大臣が特別な理由を考慮し在留期間を指定して居住を認める者です。

**難民とは、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、又は政治的意見によって迫害を受ける恐れがあるため国籍国に戻れない人々を指します。正確な定義は、国連の難民条約に規定されていますので、参照してください。

***補完的保護対象者とは、難民に該当する要件(上記の5つの理由)以外の理由で、迫害を受ける恐れがあるため国籍国に戻れない人々を指します。例えば、自国が戦争の渦中にあって、そこから逃れてきた人々などが該当します。正確な定義は、入管法第2条3号の2を参照してください。

7.永住許可申請ができるための、最長の在留期間について

「永住許可に関するガイドライン」では、令和8年2月24日に改訂される以前から、現に有している在留資格について、最長の在留期間が許可されていることと規定されており、それは即ち現在と同じく5年という意味でした。しかし、2027年3月31日までは慣例として3年が許可されていればよいということになっていました。

在留期間5年の許可を受けることは、特に就労系の在留資格ではかなり難易度が高いため、今回の改定により、永住許可申請を断念せざる得なくなる人は多いのではないかと危惧します。

10年以上在留し、この間ずっと真面目に就労してきた方であっても、途中で転職したりしたために、在留期間が3年しか許可されていなければ、永住許可申請をすることができません。

2025年7月の参議院選挙、同年10月の高市政権発足により、在留期間5年の許可を得ることは、今後さらに狭き門になっていく可能性があります。

8.在留資格「高度専門職」の保有者が、永住許可申請する際の点数確認

話は少し変わりますが、最近、永住資格への変更を考えている「高度専門職」の人が増えているように思います。高度専門職の人が、永住許可申請をする場合、現在の高度専門職の在留資格を取得したときのポイントによって、提出書類が少し異なります。

申請時に、自分で計算したポイントは80点以上あったとしても、許可されたときに、入管から80点以上あることを認定する計算結果通知(別記第27号の2様式)をもらっていない場合、入管はあなたの計算を認めず、80点未満と認定したと思われるので、注意してください。

何故、入管があなたの計算結果を認めなかったか? 考えられる理由の一つは、ポイント計算表に添付した疎明資料が不十分だったことが考えられます。

9.永住許可申請中に転職する場合に注意すること

在留資格「高度専門職」や「技術・人文知識・国際業務」(技人国)、「技能」など就労系の在留資格を持っている外国人が転職をするときは、所属機関に関する届出を14日以内に入管にしなければいけません。この届出は、本人がオンラインですることもできます。

例えば、「技能」の在留資格を持っている人が、同じ「技能」の資格の範囲のなかで転職するだけなら、上記の届出をして終わりです。しかし、もし現在の在留資格で働きながら、永住許可の申請をしている場合は、入管の永住審査部門に、別途、届出をしてください。同じ入管でも、就労系と永住・定住系とで部署が違うからです。

永住審査部門に、「現在、永住許可を申請中ですが転職しました。」と届出ると、新しい会社の在職証明書などの提出を求められると思います。そのときにきちんと対応できないと、審査に悪影響を及ぼしますので迅速かつ慎重に対応してください。

永住許可の申請をするときに提出する書類の一つに、了解書という書類があり、これに転職の場合は届出をすることと書いてあります。しかし、帰化許可申請のときのように、申請を受理する係官が読み上げて注意してくれるわけではないので、見落としてしまう人も多いのではないでしょうか。永住許可申請中に転職する場合には、くれぐれも気を付けてください。

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