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特定活動とは
在留資格(ビザ)申請のページで、主な在留資格(ビザ)を列挙して説明していますが、これらの在留資格は、日本で行う具体的な活動や身分ごとに、類型化・固定化されています。そして、これらの在留資格は、入管法によって、つまり、法律のレベルで定められています。
法律のレベルで定められているということは、社会の変化、特に日本人労働力の減少や、外国人の活動内容の多様化に応じて、新しい活動に適した在留資格が必要になるたびに、国会で入管法を改定しなければなりません。
しかし、新しい在留資格が必要になるたびに、法改正をしていたのでは、迅速、柔軟に社会の変化・要望に対応しきれないことから、法律レベルでは、活動内容を具体的に定めていない在留資格が創設されました。それが在留資格「特定活動」です。
在留資格「特定活動」は、1989年の入管法改定で創設され、1990年に施行されました。入管法において、「特定活動」は、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」とのみ規定されています。そして、法務大臣が、特定活動公示に列記して、活動内容を個別に定めた特定活動の種類は、2026年4月時点で57種類あります。
また、特定活動告示に記載されていないけれども、出入国在留管理庁のウェブサイトに掲載されている特定活動や、特定活動告示にもウェブサイトにも載っていない特定活動もあります。
在留資格「特定活動」の種類は、法務省令のレベルで改廃できるので、常に増えたり減ったりしています。
例えば、「技能実習」の在留資格で日本に在留する外国人は、2025年末時点で約46万人いますが、外国人技能実習制度が1993年にスタートしたときには、「技能実習」は特定活動の一つでした。その後、2010年に「特定活動」から出て、独立した一つの在留資格になりました。(そして、2027年4月1日から在留資格「育成就労」の創設によって消滅することになります。)
以下、このウェブサイトを見ている方々にとって、特に興味のありそうな「特定活動」をいくつか具体的に解説していきます。
1.特定活動16~24号、27~31号(EPA看護師・介護福祉士候補者)
インドネシア、フィリピン、ベトナム各国と日本との経済連携協定(EPA)に基づいて来日する看護師又は介護福祉士の候補者が対象です。
看護師候補者については、三国の候補者とも、雇用契約に基づいて、看護施設で、看護士の監督の下で、必要な知識と技能を習得するための研修として業務に従事します。
介護福祉士については、インドネシアの場合は、看護師候補者と同じく雇用契約に基づくコースしかありませんが、フィリピンとベトナムの場合は、雇用契約に基づいて、業務に従事しながら必要な知識と技能を習得するコースと、養成施設で学生として必要な知識と技能を習得するコースの二通りがあります。
また、日本の国家試験に合格して、正式の看護士又は介護福祉士になれば、配偶者や子の家族滞在が許可されます。
2.特定活動33号、33号の2(高度専門職外国人の配偶者の就労)
(1)該当する活動内容
在留資格「高度専門職」を有する外国人の配偶者に、在留資格「教授」や「芸術」、「技術・人文知識・国際業務」(技人国)、「教育」などかなり広範な就労活動を認める制度です。「高度専門職」に付与された特典の一つです。
(2)該当性を満たすための主な要件
・在留資格「高度専門職」一号(イ)、(ロ)、(ハ)、二号を有する外国人の配偶者
3.特定活動46号(本邦大学卒業者)
(1)該当する活動内容
日本の大学等を卒業した留学生が、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国)に該当する頭脳労働(いわゆるホワイトカラーの仕事)以外に、現場での作業(肉体労働的な仕事、現業という)も含む仕事に就くことを可能にする在留資格です。
「技人国」に該当する活動内容は、大学等で勉強した自然科学や人文科学の知識を必要とする頭脳労働に限定されてしまっています。しかし、現実の仕事には、頭脳労働と現場での作業が混ざっているものがたくさんあります。
例えば、ホテルでフロント業務(これは「技人国」に該当します)に従事すると同時に、ドアマンやポーターとして荷物運びなども行うケースが考えられます。
あるいは、製造会社の工場で製品の改良に取り組みながら(これは「技人国」に該当します)、自分自身も生産ラインに入って作業をするようなケースもあります。
会社の規模が小さくなればなるほど、頭脳労働も現場での作業も含んだ複数の業務を一人でこなさなければならないことが多くなるでしょう。
「特定活動」第46号は、このような「技人国」の業務と現業が混ざった仕事をカバーするために創設された比較的新しい在留資格です。
(2)該当性を満たすための主な要件
一見、需要の多そうな特定活動に思えますが、要件が厳し過ぎて現実には利用が進んでいないようです。少なくとも、当事務所には未だに依頼がありません。
・原則として、日本の大学以上を卒業した者(学士以上)が対象
・日本語能力試験N1相当以上
4.特定活動53号(デジタルノマド)
(1)該当する活動内容
海外企業に雇用され、あるいは海外の契約先に情報通信技術を用いてサービスを提供する目的で、日本でリモートワークを行う外国人を対象とする比較的新しい制度です。
(2)該当性を満たすための主な要件
・滞在が6か月を超えないこと
・日本と租税条約を締結している国等の国籍者であること
・年収が1,000万円以上あること
・海外旅行傷害保険等の保険に加入していること
5.特定活動告示外(留学生の卒業後の就職活動、いわゆる継続就職活動)
(1)該当する活動内容
日本の大学や専門学校等を卒業した留学生が、卒業後も引き続き日本で就職活動を行うための特定活動です。原則として6か月許可され、通常、一回の延長が認められます。特定活動告示に記載のない(告示外の)特定活動ですが、入管庁のウェブサイトに該当性要件や申請に必要な書類についてなどが掲載されています。
(2)該当性を満たすための主な要件
在留資格「留学」からのみ変更して取得することが可能です。
従って、ほかの在留資格を持っていて就職活動をする場合、例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国)を持って会社で働いていたところ、その会社が倒産し、失業してしまったような場合は、失業時の在留資格を「特定活動」(就職活動)に変更するはできません。この場合、3か月以内に同じ在留資格に該当する就職先を見つけて再就職できなければ、在留資格が取り消されてしまいます。
6.特定活動告示外(老親が扶養を受けるための特定活動、いわゆる連れ親)
日本に帰化した人や永住権を取得して生涯日本で生活するつもりの人は、概して長年就労系の在留資格で在留した後に、帰化したり永住資格を得ているので、中年以上の人が多いですが、そのような人の母国にいる親は大概、老齢でしょう。
母国に残された老齢の親に、母国に残っている他の子があって、母国の福祉や医療制度がしっかりしていれば、問題は無いかもしれませんが、そうではない場合、老親が急に病気になったり事故に遭ったりしたらと思うと、心配の種は尽きません。
しかしながら、在留資格「家族滞在」で呼び寄せられるは、配偶者と子に限定されいます。現在のところ、親は「家族滞在」の対象外なので、「人道上その他の特別な事情があると認められる場合」として、法務大臣に特定活動を許可してもらう以外に老親を日本に呼び寄せて一緒に暮らす方法はありません。
2025年11月の情報では、入管の係官が審査時に参照する内部のマニュアル「入国・在留審査要領」から、「老親が扶養を受けるための特定活動」が削除されたとのことで、今後の入管の対応が憂慮されます。
老親が扶養を受けるための特定活動は、特定活動告示にも入管庁のウェブサイトにも記載されていません。
7.特定活動告示外(同性婚)
外国人と外国人の同性カップルで、双方の本国で合法的に婚姻している場合、一方が例えば在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国)で在留資格を許可された場合、他方が在留資格「特定活動」で中長期の在留が認められる制度です。
残念ながら、日本では未だに同性婚は法的に認められていません。しかし、2022年の東京地裁判決を受け、外国人と日本人のカップルであっても、その外国人の本国で合法に婚姻が成立している場合は、その外国人に在留資格「特定活動」が認められるようになりました。
因みに、外国における合法的な同性婚の相手方のための特定活動は、特定活動告示にも入管庁のウェブサイトにも記載されていません。
8.特定活動告示外(難民認定等申請者)
(1)該当する活動内容
難民認定申請者や補完的保護対象者認定申請者が、審査結果を待つ間に日本に滞在するための特定活動です。特定活動告示には記載されていませんが、入管庁のウェブサイトに該当性要件や申請に必要な書類についてなどが掲載されています。
難民認定等申請者は、申請理由や申請前に有していた在留資格などによりABCDの4つのカテゴリーに振り分けられ、難民や補完的保護対象者に認定される可能性が低い場合には、審査結果を待つ間に就労することが認められません。
(2)該当性を満たすための主な要件
・難民認定の申請者又は難民認定の審査請求中の者
・補完的保護対象者認定の申請者又は補完的保護対象者認定の審査請求中の者