1.究極の「まじめさ」が求められる
在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請の解説のところで、法務大臣は申請に「相当の理由がある」場合に限り、在留資格の変更を許可すると書きました。そして、その「相当の理由」とは、素行が善良であることや納税義務を果たしていることなどである、とも書きました。
これらの申請では、今まで日本の社会の一員として、真面目(まじめ)に過ごしてきましたか、ということが問われます。そして、究極の「真面目さ」が問われるのが、永住許可の審査といえます。
特に納税や社会保険料(健康保険料や年金保険料のこと)の納付の義務の履行については、完璧さが要求されます。
給与所得者(会社の従業員など)であれば、会社が所得税や住民税、健康保険料や厚生年金保険料を給与から控除して(天引きして)、本人に代わって納税・納付してくれますから、ちゃんとした会社に勤めている限りは心配ありません。
しかし、個人事業主や会社のオーナーは、毎年自分で確定申告して納税し、国民健康保険や国民年金は毎月、あるいは3か月や6か月ごとに、自分で金融機関やコンビニに行って納付しなければなりません。忙しくて、うっかり今月の納付期限が過ぎてしまったということは、往々にして起こり得ます。
ところで、永住許可の申請では、直近2年分の国民健康保険及び国民年金保険料の納付証明書(領収書)を提出しなければなりません。非常に過酷なことながら、これらの証明書によって、2年の間、1回だけ1日だけでも納付期限を過ぎて納付していたことが判明した場合、それはかなり深刻な消極要因(減点対象)とみなされます。
2.税金や社会保険料を払えなくなってしまったら
ところで話は変わりますが、失業や長期入院で貯金が無くなり社会保険料を払えなくなってしまった場合は、永住申請どころではありません。 その場合、とにかく、市役所や区役所、年金事務所に連絡して事情を説明し、納付の猶予を求めてください。
私が会員になっている移住連(特定非営利活動法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」)の関係者がサポートしてくれる可能性もありますので、困っている外国人で、たまたまこのページを読んだ方は、遠慮することなく、当事務所に連絡してください。
3.永住許可と帰化許可、どちらが取りやすい?
たまにこの質問を受けますが、なかなか答えるのが難しいです。永住と帰化は、本来、目的が違うものですから、比較すべきものではないと思います。しかし、実利的な面、具体的には、在留期間が限定されず、職業を変えたり仕事を辞めても日本に居続けることができるという、大きな共通点がある以上、ずっと日本に住みたい外国人が比較検討するのは自然なことともいえます。
永住許可と帰化許可では、申請が可能になる在留年数が異なるほか、いろいろな要件が異なります。例えば、永住の審査では上述したように、納税や公租公課の納付についてより厳格である一方、法律違反に関しては帰化の審査の方がより厳格といわれています。
自分自身にとって、どちらの要件の方が満たしやすいかを比較検討する一方で、母国にいる両親や日本にいる家族のこと、自分は晩年をどこで過ごしたいかなど、よく考えてもらいたいです。