永住許可申請

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永住許可申請とは

1.究極の「まじめさ」が求められる

在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請の解説のところで、法務大臣は申請に「相当の理由がある」場合に限り、在留資格の変更を許可すると書きました。そして、その「相当の理由」とは、素行が善良であることや納税義務を果たしていることなどである、とも書きました。

これらの申請では、今まで日本の社会の一員として、真面目(まじめ)に過ごしてきましたか、ということが問われます。そして、究極の「真面目さ」が問われるのが、永住許可の審査といえます。

特に納税や社会保険料(健康保険料や年金保険料のこと)の納付の義務の履行については、完璧さが要求されます。この点について、下記「永住許可」要点整理(その2)の中で詳述します。

2.永住許可と帰化許可、どちらを選ぶ?

たまにこの質問を受けますが、なかなか答えるのが難しいです。永住と帰化は、本来、目的が違うものですから、比較すべきものではないと思います。しかし、実利的な面、具体的には、在留期間が限定されず、職業を変えたり仕事を辞めても日本に居続けることができるという、大きな共通点がある以上、ずっと日本に住みたい外国人が比較検討するのは自然なことともいえます。

永住許可と帰化許可では、申請が可能になる在留年数が(少なくとも2026年3月までは)異なるほか、いろいろな要件が異なります。例えば、永住の審査では上述したように、納税や公租公課の納付についてより厳格である一方、法律違反に関しては帰化の審査の方がより厳格といわれています。

自分自身にとって、どちらの要件の方が満たしやすいかを比較検討する一方で、母国にいる両親や日本にいる家族のこと、自分は晩年をどこで過ごしたいかなど、よく考えてもらいたいです。

「永住許可」要点整理(その1)

1.はじめに

この章では、2026年4月までに施行された法令改定(既に成立し2027年4月1日に施行されるものを含む)の内容を中心に、永住許可申請の主な要件や申請中の注意事項等について見ていきます。

在留資格「永住者」は、日本人や永住者、特別永住者と結婚して日本で生活している外国人、日本の会社に永年勤務してきた外国籍の会社員、日本で安定した事業を継続して行っている外国籍の事業家、その他、これからもずっと日本に居住し続けることに相当な理由がある外国人の方々のための在留資格です。

今回は、在留資格「永住者」取得の要件を概括し、特に2024年(令和6年)6月14日に国会で可決成立し、2027年(令和9年)4月1日に施行される出入国管理及び難民認定法(入管法)改定について、何がどう変わったかを中心に見ていきます。

さらに、現在持っている在留資格によって取得のための要件が異なること、申請してから審査結果が出るまでの間に注意することについて、重要なポイントを説明します。

2.永住許可の審査は、入管による最後の審査

在留資格「永住者」を取得できれば、在留期間が無期限になり、在留活動にも制限がかかりません。つまり、「永住者」の資格を取ってしまえば、それ以後、職業を変えたり、仕事を辞めて無職になったとしても、別の在留資格を取得しなければならないと心配する必要は無くなります。

つまり、永住許可申請に対する審査は、将来何か問題を起こさない限り、その外国人に関して出入国在留管理局(入管)が行う実質的に最後の審査*になり、それ故に、特別に慎重に行われます。

*ただし、在留カードの更新や再入国許可の手続き等は、永住許可取得後も必要です。

出入国在留管理庁は、審査基準の概要を「永住許可に関するガイドライン」にまとめて公開しています。主な審査基準は下記4. 以下で見ていきます。

3.2026年春時点の永住許可の審査期間

上述のとおり、永住許可の審査は、入管による最後の審査になり得るため、他の在留資格に比べて時間がかかります。審査に要する期間は、人によって、又は各地の地方出入国在留管理局・支局によっても異なるので一概にはいえませんが、半年から1年以上はかかります。

特に、2026年4月の時点で国会審議中の在留審査手数料値上げ案で、永住許可の手数料を現行の1万円(2025年3月までは8,000円だった)から一気に20万円(政府案)まで引き上げることが検討されていること、2027年4月から永住許可申請をすることができる要件の一つである、現在許可されている在留期間が最長の5年であることの適用が厳格化されること(下記7. 参照)、その他にも今後さらに政府・与党によって許可要件が厳しくされる恐れがあることから、2025年後半辺りから申請者がかなり増えているようです。そのため、永住許可申請の審査期間は、今後長くなることはあっても短くなることは、当面はなさそうです。

4.「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)について

「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)には、主に次の条件が記載されています。

(a) 素行が善良であること

(b) 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

(c) 原則として、引き続き10年以上日本に在留していること

(d) 罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと

(e) 公的義務(納税、年金や社会保険加入など)を適正に履行していること

(f) 入管法に定める義務を適正に履行していること

(g) 現に有している在留資格について、最長の在留期間である5年が許可されていること

(h) 現に有している在留資格に見合った活動をしていること

このうち (c)については、下記 5.と6. で、(g)については、下記7. で、説明します。また、(e)、(f)、(h)については、次章、要点整理(その2)で説明します。

いずれにしても、これだけを見る限り、それほどハードルが高いとは思えないかもしれません。しかし、入管の審査官は、これらの基準を満たしているか否かに関して、(言葉は悪いですが)「重箱の隅を突く」ための分厚いマニュアルを持っていて、いろいろな角度から申請者に質問し、証拠の提出を求めてきます。

入管は、たんに提出された書類を調べるだけではなく、必要に応じて自ら調査を行うことがありますので(入管法第59条の2)、些細なことであっても、虚偽はもちろん、いい加減な記載は絶対にしないようにしてください。

さらに、忘れてはならないことは、ガイドラインで定められた条件を全て満たし、申請書に添付することを要求された書類を全て提出したとしても、必ず許可される保証はありません。何故なら、入管法の第22条には「・・その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可する・・」と書かれていますが、どういう人が、あるいはどうすれば、日本の国益に合するのかについて客観的な基準はなく、法務大臣の裁量次第だからです。

5.永住許可申請が可能になるまでの在留期間は、在留資格により異なる

永住許可を取得するための要件のひとつに、上記のとおり、「原則として、引き続き10年以上本邦に在留していること」があります。しかし、現実は、高学歴・高収入の人ほど早く永住許可を申請する権利を得ることができます。残念ながら、すべての在留外国人が平等に扱われるわけではありません。

具体的には、次の資格を有し、特定の要件を満たす外国人は、在留を開始してからかなり早い段階で永住許可申請をすることができます。

・在留資格「高度専門職」のポイント計算*で80点以上を有する外国人 1年

・在留資格「高度専門職」のポイント計算で70点以上を有する外国人 3年

・外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者 5年

*ポイント計算とは、在留資格「高度専門職」の基準適合性(合格基準のようなもの)を客観的に数値で測る仕組みです。このポイント計算表にはたくさんの評価項目があり、例えば、博士号を取得していれば何点、世界大学ランキング上位校を卒業していれば何点、年収がいくら以上なら何点・・と、該当する項目のポイントをどんどん足していきます。そして、その合計点によって、その外国人の日本への貢献度を測るというものです。

在留資格「介護」で来日し、毎日毎日、汗水流して高齢者や障害者の世話をしても、10年経たなければ永住許可の申請は出来ません。しかし、「高度専門職」の資格を持って在留すれば、たった1年か3年で永住資格を申請できます。職業や納税額によって日本への貢献度を客観的に測り、それによって年数要件に差を付けることが必ずしも悪いとは思いませんが、この大きな差には疑問を感じざるを得ません。経済的な観点以外の見地から貢献度を測るための基準があっても良いのではないでしょうか。

6.身分資格や人権に配慮した在留期間要件の短縮もある

家族内でのポジション(在留資格のうち身分資格)や人権への配慮から、永住許可の申請ができるまでの期間を10年より短くしている場合もあります。具体的には次のようなケースです。

・日本人と結婚して、真実の婚姻が3年以上継続し、1年以上日本に在留している者 1年

・「定住者」*の在留資格で日本に在留している者 5年

・難民**または補完的保護対象者***の認定を受けた者 5年

*「定住者」とは、日系人、定住難民、日本人の配偶者の実子、そのほか法務大臣が特別な理由を考慮し在留期間を指定して居住を認める者です。

**難民とは、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、又は政治的意見によって迫害を受ける恐れがあるため国籍国に戻れない人々を指します。正確な定義は、国連の難民条約に規定されていますので、参照してください。

***補完的保護対象者とは、難民に該当する要件(上記の5つの理由)以外の理由で、迫害を受ける恐れがあるため国籍国に戻れない人々を指します。例えば、自国が戦争の渦中にあって、そこから逃れてきた人々などが該当します。正確な定義は、入管法第2条3号の2を参照してください。

7.永住許可申請ができるための、最長の在留期間について

「永住許可に関するガイドライン」では、令和8年2月24日に改訂される以前から、現に有している在留資格について、最長の在留期間が許可されていることと規定されており、それは即ち現在と同じく5年という意味でした。しかし、2027年3月31日までは慣例として3年が許可されていればよいということになっていました。

在留期間5年の許可を受けることは、特に就労系の在留資格ではかなり難易度が高いため、今回の改定により、永住許可申請を断念せざる得なくなる人は多いのではないかと危惧します。

10年以上在留し、この間ずっと真面目に就労してきた方であっても、途中で転職したりしたために、在留期間が3年しか許可されていなければ、永住許可申請をすることができません。

2025年7月の参議院選挙、同年10月の高市政権発足により、在留期間5年の許可を得ることは、今後さらに狭き門になっていく可能性があります。

8.在留資格「高度専門職」の保有者が、永住許可申請する際の点数確認

話は少し変わりますが、最近、永住資格への変更を考えている「高度専門職」の人が増えているように思います。高度専門職の人が、永住許可申請をする場合、現在の高度専門職の在留資格を取得したときのポイントによって、提出書類が少し異なります。

申請時に、自分で計算したポイントは80点以上あったとしても、許可されたときに、入管から80点以上あることを認定する計算結果通知(別記第27号の2様式)をもらっていない場合、入管はあなたの計算を認めず、80点未満と認定したと思われるので、注意してください。

何故、入管があなたの計算結果を認めなかったか? 考えられる理由の一つは、ポイント計算表に添付した疎明資料が不十分だったことが考えられます。

9.永住許可申請中に転職する場合に注意すること

在留資格「高度専門職」や「技術・人文知識・国際業務」(技人国)、「技能」など就労系の在留資格を持っている外国人が転職をするときは、所属機関に関する届出を14日以内に入管にしなければいけません。この届出は、本人がオンラインですることもできます。

例えば、「技能」の在留資格を持っている人が、同じ「技能」の資格の範囲のなかで転職するだけなら、上記の届出をして終わりです。しかし、もし現在の在留資格で働きながら、永住許可の申請をしている場合は、入管の永住審査部門に、別途、届出をしてください。同じ入管でも、就労系と永住・定住系とで部署が違うからです。

永住審査部門に、「現在、永住許可を申請中ですが転職しました。」と届出ると、新しい会社の在職証明書などの提出を求められると思います。そのときにきちんと対応できないと、審査に悪影響を及ぼしますので迅速かつ慎重に対応してください。

永住許可の申請をするときに提出する書類の一つに、了解書という書類があり、これに転職の場合は届出をすることと書いてあります。しかし、帰化許可申請のときのように、申請を受理する係官が読み上げて注意してくれるわけではないので、見落としてしまう人も多いのではないでしょうか。永住許可申請中に転職する場合には、くれぐれも気を付けてください。

「永住許可」要点整理(その2)

1.はじめに

この章では、永住権に関し、2026年4月までに施行された法令改定(既に成立し2027年4月1日に施行されるものを含む)の内容を中心に、永住許可申請の主な要件や永住権取得後に懸念される事項等について概観していきます。

前章、要点整理(その1)では、永住許可の取得の難しさ、審査にかかる期間、何年日本に在留したら永住許可の申請ができるようになるか、そして、その年数は、外国人が現在持っている在留資格や学歴、収入などによって異なることなどについて説明しました。

今回は、それを破ることによって、永住が許可される可能性が無くなってしまう条件、永住が許可された後も、これからは以前ほど安心して暮らすことが出来なくなりそうなことについて見ていきます。

2.永住が許可されるための条件、許可されなくなる条件

出入国在留管理庁(入管)のウェブサイトに掲載されている「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)に、永住許可されるための要件が列記させています。

これらの要件のうち、申請が可能になるまでに必要な在留年数、現在持っている在留資格で許可されている在留期間の二つについては、前章で解説しました。これらは、達成されたら、その時点以降に申請が可能になる条件です。(このような条件を法律用語で「停止条件」といいます。)

一方、その条件が破られてしまったら、その時点以降は、永住が許可されることが無くなる要件も挙げられています。(このような条件を法律用語で「解除条件」といいます。)

(i) 刑罰(罰金刑や拘禁刑など)を受けていないこと

(ii) 納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付義務を適正に履行していること

(iii) 出入国管理及び難民認定法(入管法)に定める義務を適正に履行していること

(iv) 現在持っている在留資格に見合った活動をしていること

これら解除条件的要件のうち、(ii)については3.で、(iii)については4.で、(iv)については5.で見ていきます。

3.納税、年金及び医療保険の保険料納付の適正履行

所得税及び住民税の納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付を法律に従ってきちんと行うことは、市民の公的な義務です。日本に居を定め、これからずっと日本で暮らしていくなら、公的義務を果たすことは、日本国民でなくても、日本に暮らす市民としての義務であることに異論はないでしょう。

しかし、公的義務を十二分に認識していても、些細な過失から、あるいは不可抗力によって、納付が遅れてしまうことはあるかもしれません。

会社の従業員など給与所得者であれば、会社が(真っ当な会社であれば)、所得税や住民税を、また、厚生年金保険料や健康保険料のうちの本人負担分を給与から天引きして、納税・納付してくれます。

しかし、個人事業主や中小企業の経営者は、自分で確定申告をして納税し、国民年金や国民健康保険を定期的に(毎月あるいは四半期ごと、半年ごとに)、自分で銀行や郵便局、コンビニに行って納付しなければなりません。忙しくて、うっかり納付期限を過ぎてしまったということも、たまにはあるかもしれません。

ところで、「永住許可に関するガイドライン」は、単に課された金額を納税・納付しただけでは充分ではなく、それらが定められた期限内に履行されることを要求しています。永住許可の申請者は、申請の直前までの定められた年数*の間に、一度の遅れもなく常に、期限を守って納税・納付していることを、対象期間中の納税・納付の証拠(金融機関やコンビニの領収書など)を提出して証明しなければなりません。

*現在持っている在留資格によって異なります。例えば、一般的な就労系の在留資格を持っている人は、納税5年分、年金・医療保険料の納付2年分の領収書等の提出が必要です。在留資格「日本人の配偶者等」であれば、納税3年分、年金・医療保険料2年分の領収書等が必要です。

永住権を申請する外国人は、日本人の配偶者等以外では、会社員より個人事業主や中小企業の経営者の割合が多いですから、ついうっかり納付の期限を過ぎてしまうようなことがないように、くれぐれも注意してください。

4.入管法に定める義務の適正履行

上記2. (i)の「刑罰を受けていないこと」とは、刑法や麻薬取締法、売春防止法など広い意味での刑事法規に違反し起訴され、有罪判決によって刑事罰(罰金や拘禁刑など)を受けていないことを意味します。

それでは、上記2. (iii)にいう「入管法の義務を適正に履行すべきこと」を、わざわざ(i)と分けて規定しているのですから、入管法の義務を履行しないことは、刑事罰の対象にならないということでしょうか? いやいや、そんなことはありません。

入管法第70条から第78条は、入管法違反に対する罰則を細かく規定しており、違反に対して、「拘禁刑〇〇年以下、罰金〇〇万円以下に処す」と明記しています。これは、明らかに刑事罰です。ということは、入管法違反で刑事罰を受けたなら、それはやはり、(i)に含まれることになります。

入管があえて(iii)を(i)と分けてガイドラインに書いている意味を理解しておくことは、実は重要です。

入管法違反に関しては、刑事罰を受けないような軽微な違反であっても、入管は、永住審査で考慮しますよ、ということを(iii)で言っているのです。

軽微な違反とは、例えば、在留カードを携行していないことが、よく例として挙げられます。そのほか、住所変更や勤務先変更を怠ったことも、軽微といえるかどうかはともかく、在留外国人に特有の違反といえます。このような違反を犯していたことが、永住許可申請の審査の過程で発見された場合は、消極要因(マイナス要因)になりますから、将来、永住許可申請をしようと考えている外国人の方々は、日ごろから注意を怠らないでください。

5.現在持っている在留資格に見合った活動

この要件については、特に説明は要らないと思いますが、例えば、次のようなケースは、現在持っている在留資格に見合った活動とはいえません。

・在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国)を許可され会社の従業員として働いていた人が、会社が経営危機に陥り解雇されてしまい、三か月以上失業状態にある場合

・在留資格「技能」を許可され、インド料理の調理師として働いていたネパール人が、中華料理店に転職した場合

・在留資格「留学」を許可され、日本の大学に入学したものの、勉強はほとんどせず、資格外活動許可で許された時間をはるかに超過してアルバイトばかりしている場合 これらの例は、許可された活動をしていないことが明らかですが、現実はもっと複雑で、許可された活動かどうか微妙なケースも多々あります。ちょっとでも疑問を感じたら、自分で都合の良いように解釈せず、専門の行政書士に相談するか、直接、あなたの住所地を管轄する地方出入国在留管理局に相談してください。

6.永住許可の取り消し

永住権を得ていれば、仕事を変えたり辞めたりしても、次の在留資格の心配をする必要はありません。また、不幸にして失業や長期間の病気療養によって収入が無くなり、納税や年金・医療保険の保険料納付が出来なくなっても、永住権を取り上げられることはありませんでした。

このように、一旦、永住許可を得てしまえば、今までは、たとえ経済的に困窮することがあっても、日本にいられなくなってしまうかもしれないと恐れる必要は、ほとんどありませんでした。

しかし、2024年(令和6年)6月14日に国会で可決成立し、2027年(令和9年)4月1日に施行される改定入管法によって、永住許可を得ても、これからはあまり安泰ではなくってしまいました。

2027年(令和9年)4月1日に施行される改定入管法は、その第22条の4第1項8号で、①この法律に規定する義務を遵守せず、②故意に公租公課の支払をしない場合に永住権を取消すことがあると規定し、その第22条の6第1項で、有期の在留資格に格下げすることを規定しました。

①は、在留カードの携行をうっかり忘れたような軽微な違反も含まれるのではないかとの懸念があり、新聞報道などニュースで度々取り上げられました。

②の公租公課の支払いとは、上記3. で説明した納税、公的年金及び公的医療保険の保険料納付のことです。病気のために失業し収入が無くなった結果として、納税義務が果たせなくなってしまったような、本人がコントロールできない理由によっても、永住権が取り消されてしまうのではないかと心配する声が高まり、①以上に、マスコミで何度も取り上げられたので、記憶している方も多いと思います。

7.永住権を簡単に取り消してはならない理由

2025年7月の参議院選挙をきっかけとして、一気に顕在化した外国人排斥の世論の高まりを受け、政府・与党は、中長期の在留を目的として日本に入って来る外国人へのビザ発給の審査強化や在留外国人の管理強化に乗り出しました。永住権に関する今回の法改定は、その一環として行われました。

しかし、永住権という特別な在留資格の安定性を、そう簡単に損ねてしまってよいものでしょうか。 

「永住者」の資格を求め、やっとそれを手に入れた人には、「永住者」の資格を必要とする相当な理由があるはずです。別の言い方をすれば、日本における安定した生活基盤を必要とする理由が必ずあります。今回の法改定は、明らかに永住資格保持者にとって脅威になります。この法改定によって、「永住者」の資格が簡単に取り消されるようなことが現実に起こらないことを願うばかりです。

8.老親の呼び寄せ

話は変わりますが、「永住者」の資格を取得した外国人は、もちろん、配偶者や子を本国から呼び寄せることはできます。しかし、親の呼び寄せは原則として認められていません。在留資格「特定活動」(告示外)を使って呼び寄せを申請することは出来ますが、ハードルはかなり高いです。

一方、在留資格「高度専門職」には優遇措置として、一定の条件は課されるものの、親や家事使用人の呼び寄せが認められています。親の呼び寄せが許される一定の条件とは、例えば、世話が必要な7歳未満の子がいる場合などです。

しかし、ここで真剣に考えるべき問題は、日本で一緒に住んでいる小さな子の世話というより、本国で一人暮らしをしている老親の世話をどうするか、ではないでしょうか。

「永住者」の資格を取って日本で働いていれば、将来本国に戻る予定はなく、また、頻繁に老親を訪問する時間的余裕もないケースが多いと思われます。できれば老親を日本に連れてきて一緒に住みたいと願うのは人情ですが、こうした場合に、永住資格を持っていることが親の呼び寄せにおいて有利になるという規定は存在しません。

小さな子がいる年代として想定されるのは、主に30代、40代と思われます。また、「高度専門職」の人は比較的裕福なので、子守をしてもらうために親を呼び寄せなくても、金銭で解決できる他の方法を採ることも可能と思われます。

「永住者」は、もちろん若年層も多いですが、比較的、中高年齢の方が多いと思われ、その中で、金銭で解決できる方法によって本国の老親の世話をすることが出来る人は、そう多くないと思われます。そして、彼ら彼女らは、今まで日本の社会・経済に永年に渡り貢献してきた人たちです。 彼ら彼女らが、本国の老親を呼び寄せ、日本で世話をしながら共に暮らせるような法改正は、望めないものでしょうか。

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